猫の予防

動物病院の役目は「動物が病気になったら行くところ」だけではありません。
「病気にならないため」に、「より良い生活を送れるよう」に、ご相談いただくところでもあります。
飼主様が「知らなかった」、「やっておけば良かった」と悲しい思いをされることがないよう日々の健康管理のお力になりたいと考えております。

ワクチン(予防接種)

 ワクチン接種は、伝染病の病原体に対する抗体を作り、免疫(抵抗力)をつけるために行います。ワクチンを接種しておけば、万が一、その病気に感染しても、発症が防げたり、軽症ですんだりします。
 現在、ワクチンで予防できる病気は、「猫ウイルス性鼻気管炎」「猫カリシウイルス感染症」「猫汎白血球減少症」「猫白血病ウイルス感染症」「クラミジア感染症」「猫免疫不全ウイルス感染症(猫エイズ)」の6種類があります。いずれの病気も、感染したら命を落とすこともある病気です。
 ワクチンは生後2ヶ月前後から、3-4週間の間隔で、2回または3回接種します。その後は年に1回の追加接種をおこないます。

フィラリア予防

 フィラリアは犬だけでなく、猫にも感染する恐ろしい寄生虫です。蚊がフィラリアに感染した犬を吸血すると、幼虫(ミクロフィラリア)が蚊の体内に入り、その蚊が次に猫を吸血することで感染します。
 犬では心臓や肺に寄生したフィラリア成虫が主な症状を引き起こします。猫の場合、フィラリア成虫だけでなく、血管内で死滅した幼虫が猫の呼吸器に悪影響を及ぼすと言われています。
 発症すると呼吸困難や咳、嘔吐、食欲不振、体重減少などの症状がみられます。悪化するとまれに突然死を招きます。
 予防は犬と同様に各種の予防薬で感染を防ぐことができます。(正確には、猫が蚊に刺されるのを予防するのではなく、蚊に刺されたときに皮膚から入ってくるフィラリアの幼虫を駆除する薬です。)予防期間も犬と同様で蚊の活動開始1カ月後から活動終了1カ月後まで(関東では5月から12月まで)の毎月1回の投薬が必要です。

ノミ・マダニ予防

 ノミは猫の体に寄生する代表的な外部寄生虫です。ノミが猫の体に寄生すると、かゆみのために引っ掻いたり,咬んだりして皮膚炎をおこします。ノミの唾液に含まれる物質によってアレルギーを起こすこともあり、背中から腰、尻尾の付け根にかけて脱毛し、赤いブツブツができます。 また、大量にノミが寄生すると吸血されて貧血を起こすこともありますし、条虫(さなだ虫)という内部寄生虫など多くの病気を媒介します。猫だけでなく飼主様を刺すこともあり、激しいかゆみや皮膚炎を起こすことも少なくありません。
 猫に寄生する一般的なダニはマダニです。マダニは草むらなどに潜み、散歩などで犬の体にくっついて血を吸います。耳や顔など、皮膚が薄くてやわらかい部分に好んで寄生します。
 ノミ・マダニなどの外部寄生虫は口から飲ませるタイプのお薬や、皮膚に直接つけるスポット剤で予防が可能です。

避妊・去勢

 避妊・去勢手術は、望まない妊娠を防ぎ、不幸な子猫を増やさないという目的があります。しかし不妊手術のメリットはそれだけではなく、発情期の性的なストレスの軽減、オス同士によるケンカによる外傷の軽減、問題行動(オス猫のスプレー行動など)の予防や改善などの効果もあります。
 当院では生後7か月ごろの手術をお勧めしています。まずはお気軽にご相談ください。

デンタルケア

 人と同様に猫も歯(口の中)を健康に保つことが重要です。しかし3歳の猫の約80%に歯周病があると言われています。歯石は多くの細菌が存在し、口臭の原因となったり、歯肉の炎症さらには全身疾患につながることがあります。一度歯石ができてしまうと、全身麻酔下での歯科処置が必要となるため、毎日のデンタルケアが大切です。歯磨きができることが理想的ですが、特に猫の場合は歯磨きが難しいことが多いので、口腔内の洗浄剤やデンタルガムなどをうまく利用することや、食べ方がおかしくないか、よだれが多くないかなど、毎日の様子をよく観察いただき、不安に思われる場合はいつでもご相談ください。

マイクロチップ

 マイクロチップは、直径2mm、長さ8mm~12mmほどの円筒形をしており、外側は生体適合ガラスで覆われています。それぞれのチップには世界で唯一の15桁の数字(番号)が記録されており、この番号を専用のリーダー(読取器)で読み取ることができます。猫を海外から日本に持ち込む場合には、マイクロチップなどで確実に個体識別をしておく必要があります。また、猫が迷子になったり、地震などの災害、盗難や事故などによって飼主様と離れ離れになっても、マイクロチップの番号をリーダーで読み取り、データベースに登録された情報を照合することで、飼主様のもとに戻ってくる可能性が高くなります。
 マイクロチップは通常の注射針より少し太い専用のインジェクター(チップ注入器)を使って体内に注入します。痛みは普通の注射と同じくらいと言われており、鎮静剤や麻酔薬などは通常は必要ありません。

体重管理(肥満)

 一般的には「理想体重よりも20%以上オーバーしていたら肥満」と言われていますが、猫の飼主様からは「この子の理想体重ってどれくらいなの?」「猫の平均体重って?」とご質問をお受けします。犬種の様に犬種別の理想体重がはっきりして示されていないので、飼主様にとってもわかりにくいところかと思います。猫が立っている状態で上から猫を見下ろしてくびれがあるか、その状態で横から見ておなかのラインが地面と平行かどうか、などで判断する方法があります。
 猫にとっても肥満は万病の元であり、猫糖尿病や、肝リピドーシス、心臓病、尿石症、便秘、下痢などの様々な病気のリスクを高めると言われています。
猫は犬のように散歩の時間を長くして消費カロリーを増やすという方法がとれません。だからといってやみくもに食事量を減らす方法は猫には特に危険であり、かえって肝リピドーシスや糖尿病の発症リスクを高めてしまう場合もあります。減量用の療法食を利用した体重管理なども可能ですので、いつでもご相談ください。

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