【 猫 】
水を飲む量が増えた、おしっこの量が増えた、痩せてきた
慢性腎不全、糖尿病の可能性があります。
慢性腎不全
慢性腎不全は高齢の猫の多くに認められる病気です。腎臓の機能が長い時間をかけて徐々に低下する病気です。慢性腎不全になると血液中の老廃物を「濾過」する働きや、体に必要な水分を「再吸収」する働きが低下するため、水分を捨て過ぎて脱水になったり、血液中に毒性のある物質がたまって障害を起こします。
【 症 状 】
多飲多尿(お水をたくさん飲んで、たくさんおしっこをする)、だんだん痩せてくる、元気がないなどの症状が出ます。
慢性腎不全が進むと食欲不振、嘔吐、貧血、口内炎などの症状も出ることがあります。
【 治 療 】
機能しなくなった腎臓の組織を元に戻すことは残念ながらできません。残っている正常な腎臓の組織にできるだけ負担をかけないようにし、慢性腎不全の進行を緩やかにすることが治療の目的となります。腎臓用の食事に変更したり、内服薬の処方、症状に合わせて補液なども行います。
腎臓はかなり余裕を持って働いており、腎臓全体の4分の3以上の機能が喪失しないと、明らかな症状が出ないといわれています。「多飲多尿」は比較的早期から症状としてみられるので、ご自宅で「おしっこが多い」「飲み水の減りが早い」などがあれば、ぜひご相談ください。また早期発見・早期治療のため、老齢の猫ちゃんの場合、最低でも1年に1回は定期検診を受けることをお勧めします。
糖尿病
人間の「成人病」としてよく聞く「糖尿病」。猫ちゃんにも糖尿病があります。
糖尿病とは血糖値を下げる「インスリン」という成分がうまく作用しなくなり、血糖値が異常に高く保たれてしまうことでおこる病気です。
猫ちゃんの糖尿病は肥満や感染症、膵炎などの疾患に起因して発生するタイプが多く、人の2型糖尿病に類似しているといわれています。また、メス猫よりもオスの猫ちゃんに多く発生する傾向があります。
【 症 状 】
多飲多尿(お水をたくさん飲んで、たくさんおしっこをする)、食べているのに痩せてくる、などが初期症状です。血液検査をすると血糖値が高く、尿検査では尿糖が見られるようになります。
【 治 療 】
症状が軽度な場合は、食事療法や内服薬によってコントロールが可能です。インスリンの注射が必要になることもあります。
人間でも糖尿病の怖さをよく耳にしますが、猫ちゃんも多飲多尿の症状から始まり、重症化すると食欲低下、嘔吐の症状が出ることもあります。また体が酸性に傾く「糖尿病性ケトアシドーシス」という状態に陥ってしまうと入院治療しないと致命的となります。
普段からご自宅でおしっこの量(固まるタイプのトイレ砂を使っている場合は、尿で固まった塊の数)にご注意いただき、「年なんだから若い時より元気がないのは当たり前」と自己判断せずに動物病院にご相談ください。