【 犬 】
陰部から悪臭のあるおりもの、膿がでる、水をたくさん飲む、元気がない
子宮蓄膿症の可能性があります。
子宮蓄膿症とは、避妊手術をしていない雌犬の子宮に大腸菌などの細菌が感染し、子宮の内部に膿がたまってしまう病気です。
中年期以降(5~7歳以上)の雌犬に発生することが多いですが、若い犬でも見られることがあります。また猫でもまれに起こることがあります。
症状としては開放性(膿が膣から外に出てくるタイプ)の場合、陰部から膿状、または悪臭のするおりものが排泄されます。一方、閉塞性のタイプの場合は、膿が子宮に溜まっていくだけで、全く外には排泄されないため、飼主様がわんちゃんの全身状態が悪くなるまで気がつかない場合が多くあります。膿の排泄以外にも食欲がない、元気がない、水をたくさん飲む、おしっこをたくさんする、嘔吐、下痢などの症状がでることもあります。
子宮蓄膿症の治療は子宮・卵巣を摘出する外科手術によりおこないます。
治療が遅れると細菌の出す毒素によって腎不全をおこしたり、膿の溜まった子宮が破裂して腹膜炎や敗血症をおこして非常に重篤な状況に陥ってしまうため、早期発見・早期治療が非常に大切になります。
子宮蓄膿症は日常の診療の中で比較的よく見られ、しかも発見が遅れると致命的な疾患です。子宮蓄膿症の多くは発情後4~8週間で認められるため、発情後のわんちゃんの体調管理に十分注意いただき、上記のような症状がみられる場合は早急にご相談ください。
【 症 状 】
患者さんは、10歳のメスのダックスフンドです。
2-3日食欲がないが水はたくさん飲む、陰部から膿みが出ており、たくさん尿をするとのことでした。全身状態が悪化してきており、やや危険な状態でした。
まず診断をおこないました。超音波検査にて、大量の膿がたまった子宮が確認されました。
治療として子宮卵巣摘出術の手術をおこないました。膿がたまった子宮をそのまま摘出します。
手術後は数日間の入院治療を行い、元気に退院となりました。
子宮蓄膿症は放置すれば命に関わりますが、早めに見つけて治療を行えば根治できる病気です。発情後1~2ヶ月で具合が悪いときなどはこの病気が疑われますので、早めの受診をおすすめします。