異物の誤飲

【 犬・猫 】
 異物を誤飲してしまった

動物は時として食べ物でないもの(異物)を飲み込んでしまうことがあります。
これらは嘔吐や下痢の原因になったり、腸閉塞をひきおこして命にかかわる場合もあります。

これに対しては、以下のような対応があります。

  • 自然に糞便と出てくるのを待つ
  • 催吐処置(吐かせる薬を投与する)にて吐かせる
  • 内視鏡(胃カメラ)にて摘出する
  • 手術(胃切開術)にて摘出する

特に、内視鏡は主に食道や胃の中にある異物を確認し、多くの場合はそのまま摘出することができます。
内視鏡の最大の特徴は、消化管の中を鮮明に観察できることや、手術に比べてとても低侵襲に処置をおこなえることです。
例えば胃の中にある異物で、吐かせる処置をしても出てこないため胃切開術で異物を摘出した場合、手術後は通常3日~7日の入院が必要になります。
しかし内視鏡で異物が摘出できた場合には、開腹手術をする必要はなく、0日~3日で退院することができます。
動物と飼い主様の負担が少なくすむ「優しい」医療であるといえます。

内視鏡検査について詳しくは こちら をご覧ください。

【 症 例 】:糸付きの縫い針を誤飲した猫

数日前から元気と食欲がない、あごの下が腫れているとのことで来院されました。
X線検査をおこなったところ、のどの部分に異物がみつかりました。
のどの部分に異物

全身麻酔にて摘出手術をおこないました。
のどに刺さっている異物が確認できます。
のどに刺さっている異物

摘出された異物は糸がついた縫い針でした。
摘出された異物は糸がついた縫い針

術後は順調に回復し、後遺症もなく良くなりました。

 猫は糸やひものような細長いものが好きで、遊んでいるうちに舌に絡み付くなどして誤飲してしまうようです。今回は針がついていてのどに刺さっていましたが、もし飲み込んで胃の中にある場合は内視鏡で摘出します。小腸に刺さったり、絡まって閉塞してしまった場合は開腹手術が必要になります。
 縫い糸以外にも、ビニールひもや猫のおもちゃのゴムひも、充電コード、包装用のリボンなどをよく経験しますので、注意しましょう。

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